第4回 2023年8月7日             「日本の財政(歳出)特別会計」について

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「風のがっこう公開講座」 第4回日時:2023年8月7日(月)19時~21時

テーマ:日本の財政(歳出)について考える

1.日本の財政(歳出)は一般会計、特別会計の二つに分かれています。

前回の講座では一般会計の歳出について語り合いましたが、

        本日は特別会計について

2.特別会計とは

財政法(昭和22年法律第34号第13号の2項)によると

国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有し、その運用を行う場合の会計をいう。

原則は独立採算制であるとしています。

特別会計の予算総額は約390兆円ですが、会計上の重複があるため純額はこの約半分でさらにその半分は国債の償還費と言われています。

これらの事業の原則は独立採算制ですが、事業運営は一般会計からの資金が繰り込まれています。

2022年(令和4年)13の特別会計が設置されている。

①交付税及び譲与税配付金

②地震再保険

③国債整理基金

④エネルギー対策費

➄労働保健

⑥食料安定供給

⑦東日本大震災復興など。

 

3.今回はエネルギー対策費について見てみます。

エネルギー対策費について

目的:

燃料安定的供給

エネルギー需給構造高度化対策

電源立地対策

電源利用対策

原子力安全規制対策及び原子力損害賠償支援対策

の経理を明確にするために設置。

 

所管:

内閣府、文部科学省、経済産業省、環境省

 

4.エネルギー対策費は三つに分かれています

①エネルギー需供給勘定

予算額(2020年)約2.3兆円

主な財源は石油石炭税などから繰り入れられている。

税率、原油及び輸入石油製品2800円/KL、石炭1,370円/MT, 2021年の税収入額約6,355億円。

 

②電源開発促進勘定

予算額(2020年)は約3,300億円、

財源は発電量( 1000kWh当たり375円課税)です。

 

③原子力損額賠償支援勘定、

予算額(2020年)約11.7兆円主な財源は借入金となっています。借入金の利子は一般会計から負担。

予算額計は約14.3兆円です。

4.

①-1.エネルギー需給勘定について大きく分けると2部門

A.燃料の安定供給対策のために使われる運営管理費用

内訳は:

  a.産油国・産ガス・産石炭国への協力費

      b. 石油・天然ガス・石炭・流通の合理化費

   内:石油精製合理化対策費

     石油流通構造改善対策費

     LPG(液化石油ガス)産業対策費

     石油・LPガスの備蓄費

B. エネルギー需供構造高度化対策(次スライドに続く)

 

①-2.エネルギー需給構造高度化対策費

目的:

  安定的適切なエネルギーの需要と供給構造の構築 

  を目的とした対策費勘定

 

内訳:

     a. 省エネルギー対策費として内、省エネル   

   ギー導入事業者支援、省エネルギー戦略 

   的技術開発支援

  b.新エネルギー対策費として内、新エネル 

   ギー導入事業者支援、燃料電池技術開発

      c. エネルギー源多様化対策費

  d.   石油等の環境負荷低減利用支援費

5.

②-1.電源開発促進勘定

電源開発促進勘定は大きく分けると2つになっています。

a.電源立地対策費

発電設備の建設及びその運営管理費などとして充当される費用は電源立地地域の振興費、インフラ整備費、産業振興、災害対策、長期固定電源の理解増進他、地域共生のための取り組みの充実・強化、原子力に対する国民の理解増進のための施策費

b.電源利用対策費(次スライドに続く)

 

②-2電源開発促進勘定

b. 電源利用対策費

発電施設の利用促進と安全確保及び電気供給の円滑化を目的にして使われる費用です。

内訳:

発電用施設の設置等の促進、電気の供給円滑化対策、原子力安全対策、核燃料サイクルに関する研究開発の推進、先端的な原子力科学技術の推進、安全確保対策等です。

6.

③原子力損害賠償支援勘定

目的:

政府(国)の経理を明確にするために設置された勘定で2020年の予算額約11.7兆円となっています。

つまり、この勘定では

原子力発電による損害への賠償に必要な資金繰りへの支援を目的とし、賠償においては原子力損害賠償支援証券及び借入金が充てられ、借入金の償還は主に原子力事業者の負担となっています。但し利子分は一般会計からの繰入金を財源としています。

 

7.特別会計勘定の理解と意見について

特別会計は例えば東日本大震災復興特別勘定などその都度の状況に合わせ開設されているのは解ります。

 

一方電源開発促進勘定で、電源開発が2004年10月上場し株式会社になった以降も国が継続して支援するのは、独立採算制を基本とする特別勘定に反するものではないかと思えます。

 

何故ならば、電源開発(株)は国内に約1、800万kWの発電設備と国外に約800万kWの発電設備を持ち売上高(単体))は約1.3兆円で黒字経営を維持している事業団体です。国からの支援の必要があるかどうか、検討する時期に入っているように思えるためです。

 

デンマーク・ウアンホイにて 

2023年7月31日

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