世界で進む風力発電の導入(2017年)

 

2017年末における世界の風力発電の設備容量は約53,900万kWで、2007年の12千万kWからこの10年間で約4.5倍増えました。世界の風力発電の累積導入量は以下表1の通りで、毎年二桁の伸び率となっています。なお、2018年の数値は推定値で対前年比も予測です。

 

1.世界の風力発電の累積導入量

 

累積 (MW)

年別導入量(MW

対前年比(%)

2008

120,696

-

-

2009

159,052

38,356

+31.8

2010

197,956

38,904

+24.5

2011

238,110

40,154

+20.3

2012

282,850

44,740

+18.8

2013

318,697

35,847

+12.7

2014

369,862

51,165

+16.1

2015

432,680

62,818

+17.0

2016

487,279

54,599

+12.6

2017

539,123

51,844

+10.6

2018

589,640

50,517

+9.4

 

(出典Global Wind Report 2017ネット情報 をもとに筆者試算

 

22017年末国別に見た風力発電の累積導入量と一人当たりの導入量

 

   及び2004年の累積導入量との比較

 

国名

2017年末累積 (MW)

        2017年人口数

一人当たり(W) 1

2004 年末累積

(MW), 2

2004-2017

導入量増3  

中国

188,392

 139, 600 万人

-

769

187,623

アメリカ

89,077

  32,570万人

273.5

6,750

82,327

ドイツ

56,132

  8,280万人

677.9

16,629

39,503

インド

32,848

133,900万人

-

3,000

29,848

スペイン

23,170

4,650万人

498.3

8,263

14,907

イギリス

18,872

6,600万人

285.9

889

17,983

フランス

13,759

6,700万人

205.4

386

13,373

ブラジル

12,736

21,120万人

-

-

12,736

カナダ

12,239

3,650万人

335.3

444

11,795

イタリア

9,479

6,060万人

156.4

1,261

8,218

トルコ

6,857

7,770万人

88.2

20

6,837

スウェーデン

6,691

1,000万人

669.1

478

6,213

ポーランド

5,848

3,340万人

175.1

55

5,793

デンマーク

5,476

570万人

960.7

3,083

2,393

ポルトガル

5,316

1,030万人

516.1

585

4,731

オーストラリア

4,557

2,460万人

185.2

588

3,969

オランダ

4,341

1,710万人

253.9

1,081

3,260

メキシコ

4,005

12,230万人

-

-

4,005

日本

3,400

12,690万人

26.8

991

2,409

アイルランド

3,127

480万人

651.5

339

2,788

その他

32,801

・・・・

 

 

-

 

出典累積Global Wind Report 2017、人口数:各国の人口統計、一人当たり:筆者試算

 

1: 累積導入量を人口数で割った数値:例日本3,400MWを人口12,690万人で割ると

 

   26.9W(ワット)となる。

 

2:出典 「デンマークという国自然エネルギー先進国94ページ表6」比較年を2004年にした理由はこの当時デンマークの風力発電の導入が停滞し、その後導入策の結果と比較したかったため。

 

32017年の導入累積量から2014年の導入累積量を引いた数値、例日本、20173,400MW、2014991MW、よって3,400-9912,409. 

 

表2.からのデータで読み取れることは、原子力発電に依存していたヨーロッパの国ドイツ、スウェーデン、イギリス、スペイン、フランスそしてトルコなど、風力発電の導入量が急速に増えていることです*。国民一人当たりの風力発電の導入量はデンマークが最も多く、その次はドイツ、そしてスウェーデンが3番目になっています。

 

*2000年当初、電力供給の原子力発電の占める割合いは、ドイツ29.3%, スウェーデン51.1%, イギリス25.8%,スペイン35%, フランス75.3%, トルコ28.2%.であった、これらの国々が原子力発電から風力発電の導入に力を入れている背景に福島原子力発電所の事故の後始末に要している膨大な処理費用があるのではないかと推察しています。

 

世界の風力発電の導入量は毎年二桁の割合で増えていていますが、インターネット情報*によると2018年時点における風力発電機メーカーは世界中に37社あると言われています。その中で最も多く風力発電機を納品しているのはデンマークの風力発電機メーカーべスタス (正式名:Vestas Wind  Systems)市場占有率は20パーセントと記述していました。以下同情報によると、2018年の世界に導入された風力発電機の設備量は50,517MWで、メーカー別に見た市場占有率のランキングは以下の通りと記述していました。* 17.april. 2019 af Ritzau Finans

 

     Vestas  (デンマーク)  20.3%

 

     Goldwin(中国)  13.8%

 

     Siemens/Gamesa (ドイツ/スペイン) 12.3%

 

     GE (アメリカ)  10.0%

 

     Envision (中国)8.4%

 

     Enercon (ドイツ)5.5%

 

     Mingyang (中国) 5.2%

 

     Nordex/Acciona (ドイツ/スペイン)5.0%

 

     United Power 中国 2.5%

 

     Sewind (中国) 2.3%

 

     Suzlon (インド) 1.8%

 

     Senvion (ドイツ) 1.8%

 

     Windey (中国) 1.7%

 

     CSIC Haizhuang 中国 1.6%

 

     XEMC (中国)1.1%

一方、風力発電機の納品で世界のトップを走るVesta Wind System社の2018年の業績を同社の年次報告書で見ますと次の通りです。

 

売上高 1013400万ユーロ(2017995300万ユーロ)

 

納品した国の数は43カ国で売上量14.2 GW (1,420万kW)

 

2018年一株当たりの配当金 7.44クローネ(約130円)

 

株価:一株当たり 20145月約230クローネ

 

         20194月約600クローネ

Vestsas社の業績は国際社会の風力発電導入政策推進と共に急速に伸びていることが解ります。

世界の風車の導入策が増大する中でVestas社の業績が伸びるだけではなくデンマークの経済を豊かにしています。その一つは外貨の獲得、雇用の確保(国内外従業員数約22,000人)燃料の節約、環境負担への寄与などがあげられます。具体的数値で見ますと、デンマークの20183月から20192月、一年間における風力発電量は国内電力消費量の約42パーセントパーに当たる1426500万kWhでした。この電力を石炭火力発電所で発電しした場合における石炭の消費量は約473万トンになります。仮に1トン当たりの輸入価格が100ドルだとして試算しますと473万トン×100ドルで計43700万ドルとなり額をデンマークは節約しているということです。人口約580万人のデンマークにおいて一人当たりの約75.3ドルの節約ということです。また、1426500万kWhの発電に石炭を燃やさないことによって、二酸化炭素の排出削減量は約1100万トンと試算され、その他の公害物質、二酸化硫黄(SO2)約1.000トン窒素酸化物(Nox)、約2600トンの削減につなげ、さらに燃え殻約75万トンの削減につなげています。つまり、デンマーク人は風力発電事業を通し、国内外に公害のない発電設備を供給しそれによってお互いの健康を維持*し電力供給への自給につなげているということが言えると思います。*デンマークは寒い国ですが、暖房に極力化石燃料を使うことを避けているためか、建物や住宅内での大気汚染が無く、筆者の場合、冬場において、住宅の暖房はお湯での温めているためか、喉を傷めたり、風邪を引いたりすることはありません。

 

                        2019420