デンマークの育児方法 “The Danish way of Parenting” ~世界が注目するデンマークの育児書~

 

世界がデンマークの育児書に注目している。

デンマーク人とアメリカ人が書いた著書、デンマークの育児方法(The Danish way of Parenting )が、今、世界の19か国で販売され、デンマーク人の育児方法に世界に注目されていると、新聞にありました。 

国連が1973年から始めた「国民の幸せ」についての調査によると、デンマーク人は世界の中で、最も幸せな国民の中入っています。その理由としてデンマークの育児が他の国々に比べて、異なると書いています。 

それではデンマークの親は何に重点をおいて育児をしているか、以下記述します。同著書ではデンマークの育児の手段をPARENT呼んでいます。ここでいうParentは英語の意味「両親」ではなく、下記に見る通りそれぞれ別な意味をなしています。

PARENT: (カッコ内はデンマーク語)

P= play (Leg)遊ぶこと

A=Authenticity (Autencitet) 信頼するに値すること

R=Reframing (デンマーク語訳? 視点を変えること

E=Empathy (Empati) 感情移入

N=No Ultimatums (ingen Ultimatummer) 最後通告では無いこと

T=Togetherness ( Hygge) いっしょに楽しく過ごすこと

 

P play遊ぶこと」について、 

デンマークの学童は10歳のまで学校に拘束される時間は午後2時まで、その後はSFO学童の保護施設で両親がで迎えるまで遊ぶようにさせている。デンマークの教育理論では既に1871年から育児には遊ばせることを採り入れています。デンマークに1932年創立で現在世界最大の玩具メーカーレゴ(LEGO)という会社があります。このLego社の名前は良く遊ぶ leg遊ぶgodt良く)から出たものです。またデンマークには、世界最大の野外の子どもの遊び道具を作っているメーカーKOMPANがあります。この会社も40年前に出来た会社ですが、デンマークでは子どもたちは遊びを通して夢を育てそれを持って新たな社会を創る、そのためには遊ばせることが大事だということを実践しています。デンマークの子どもたちの年間就学日数は200日。放課後における学校でのクラブ活動は無し。宿題は学校に居る間に済ませる。夏休みは7週間あり夏休み期間中には宿題は一切無しで、学校でのクラブ活動もありません。子どもたちは遊びを通し新たな社会を創ることにつなげている。

  

A=Authenticity 信頼するに値すること、信頼に足りること」について

デンマークの文化全体が、全て上手く行っているわけではありません。例えばアンデルセン童話にもみられるように、彼の物語の多くはハッピーエンドになっておらず、多くは悲しい結末になっています。信頼に値することとは、各個人で何が正しいのか見出す力を育てるということです。つまり、正しい答えを覚えるのではなく、実存する社会の中で何が正しいかを見出す力を育てることだということです。

  

R=Reframing 視点を変えること」について、

消極的視点で物事を見ることでは無く、現実に合わせた積極的なものの視方で育児すること、例えば、雨が降り続いた日でも「休暇中で無くてよかったね」というように、物事を前向きで見ることにさせる。

筆者はデンマークに居住し始めて48年が過ぎましたが、今まで学業成績が悪く子どもを叱った親をみたことはありません。成績が悪くても「何とかなるからね、心配するな」が親から子どもへの励ましの言葉です。筆者は長い間デンマークで風力発電事業に関与して来ていますが、風車の発電量は風任せのため、当てにならない、それでもデンマークの人たちは世界最大の風力発電事業に育てた裏には、「風任せで当てにならない風力発電を、どうしたら当てに出来るか」という積極的な考えをしてきたから今日の事業が生れたと思っています。つまり子どもの時から物事を消極的に見るのでは無く、上記「A」の信頼にあたいすることを踏まえた積極的な視方から問題解決に向かってきたことでその成果を生んだと思うのです。

 

E=Empathy 正直&正しいこと」について

人は正直であること、このことについて実践の例は、数年前各国において50ユーロと持ち主の名前と住所を入れた100個の財布を道路に捨て、何個財布がその持ち主に戻るか、実践したところ、全体として100個の内、戻った数が56個(56%)で国別でみるとアメリカ67%、イタリア35%、デンマーク100%、デンマークの子どもや大人はこのような落とし物は誰でも持ち主に返すものであるという気持ちを持っている

 

N=No Ultimatums 決定的では無いこと」について

デンマークでも法律や規定はあるが、これらの規定等に子どもたちの疑問&質問(ルールの導入の理由)が入れられるようになっている。これに反し、アメリカやイギリスのだと、そのことについての理由は聞いてはいけない、従うだけである。

また、デンマークの学校では体罰はダメということは当たり前であるが、アメリカでは8090%体罰がある。19か国において先生が生徒を殴ることは許されている。この結果、権力で指導した子どもたちの学力は、そうではない(デンマーク)国の子どもたちに比べ、学力は高いが、その反面自立出来ず、また社会で育たない大人になっている。

 

T=Togetherness  いっしょに楽しく過ごすこと」について 

デンマーク語ではHyggeフッグ)と呼び、デンマーク人の一般の暮らしの中で常に使われ、特に意味があるわけではないのですが、デンマーク人が人と過ごす時に”skal vi hygge os” (一緒に楽しく過ごしましょう)という言葉で使われいます。デンマーク人は世界でもっとも信頼しあう国民と呼ばれて、世界の中で最も幸せな国民だと言われていますが、この背景にデンマーク人は楽しく過ごすことを生活の地盤にしていることが大きな理由になっていると、書いています。

デンマーク人の育児のベースに楽しく行うということが、家庭生活にも表れ、学校教育の中にも出てきていると書いてあります。

特に学校教育の場では、子供たちはみんなで問題を解くことや課題に取り組むことを通し楽しく学校生活を送ることができる。 

 (以上Kristeligt dagbladet fra den 17.dec. 2015からの抜粋)