第1回 2023年5月8日(月)

「日本の財政問題、歳入額の推移について」

  このテーマを選んだ理由は、日本社会が持続するためにはお金が必要であり、そのことについて情報交換をしたいと思っています。

理由:どの国に住もうと、人は一人では生きていけません。生き延びるための知恵として、人は集まり、皆で暮らすための社会という仕組みを作ってきました。何故人は一人では生きていけないか、ごく一部の人たちを除き、殆どの人たちは他の人達からの支援を得て生きています。

朝、起きて寝るまでの間にどれだけの人の支援を得ているか、考えてみたら解ると思います。朝食の材料、水、電気、ガスなどエネルギーの全て、他の人からの支援を得ながら暮らしています。体調を崩した場合は医師の世話を受け、知識を得るために、学校という施設で働く人達から支援を受けているのです。どれだけ人からの支援を得て生きているか、確認したい場合は、何も持たず、孤島或いは人里離れて場所に住んでみることです。自然界の中で食べる物を探しだし、寒さや雨、或いは日照りから身を守るための手段を考え、風邪を引いても頼る人はいない。恐らく殆どの人(たち)は1週間前後で、そのような状況から逃げ出すはずです。何故ならば、生命の維持が出来なくなってくるからです。一人では生きていけないため、皆で生きる社会を創り、生き延びてきました。

人が集まり出来たのが社会(国家)で、お互い助け合って生きているための支払いや、受け取りの手段として採り入れられたのがお金です。物を買う時にはお金が使われますが、物を売る人は売る物を作るためにお金が必要です。

我々全員、1年間の生きる時間は8760時間です(24時間×365日)。この時間をどう使うかは、夫々違いますが、学生の場合、多くの時間を学びにあて、大人と呼ばれている人達の殆どは、生きるために必要な物を得るための手段(お金)に多くの時間を充てています。生活するために働く時間数を労働時間と呼んでいますが、日本人の労働時間数は年間約1600時間と語られています。勿論これ以上働いている人もいます。デンマーク(筆者が住む国)の労働時間数は年間約1300時間です。

年間の生きる時間から労働時間を引いて残る時間は、約7000時間になりますが、(8760時間から1600時間を引いた時間)を何に使うか、皆で考えだしたのが、共同生活に必要とする、いろいろな施設や設備です。例えば、公園、図書館、道路などで、これらの施設や設備を作るために働いたお金の一部を払い出すことを「税金」と呼んでいます。

税金とは、共同生活を維持管理するために使うお金を、国民や市民から集めることを言います。国民や市民はこのことを納税(税金を払う=納める)と呼んでいます。

国への納税を国税と呼び、県や市町村に納める税金は地方税とよんでいます。日本では地方税を住民税と呼び、県税と市町村税のことを言っています。

本日のテーマ「税金について」では、日本国民が社会(国家)に納税しているお金の内容と金額について語りあいたいと思っています。

国家においても、地方公共団体においても、入ってくるお金は歳入と呼び、出て行くお金は歳出と呼んでいます。

 

歳入額について

日本の納税額の動きについて、日本の統計年鑑から書き出した金額は、下記表1の通りです。

表1で見る通り、日本の納税額は直接税と間接税の二つに分けています。

直接税は国税と地方税に分けています。直接税とは納税者と国税庁(税金を受け取る機関)が直接つながっていることを言います。その例の一つが所得税です。

間接税とは納税者と国税庁が間接的につながっているとから言われています。その例は消費税です。

 

1 日本の租税額推移(単位:10億円)

年度

直接税(国税

直接税(地方税)

間接税

直接+間接税計

+/-

1980

28,369

15.894

8,206

52,469

-

1990

62,780

33.450

16,483

114,809

+118.8

2000

52,721

35,546

20,402

108,669

-0.5

2010

43,707

34,316

19,303*

97,326

-10.4

2015

60,187

38,958

26,030

125,175

+28,6

(出典:日本統計年鑑2005146頁目及び2018144頁 *2009年の数値

 

国税として納税される税科目とは:

  所得税、② 法人税、③ 相続税、④ 贈与税、(①~④は直接税)

消費税、⑥ 酒税、⑦ タバコ税、⑧ 自動車税 (~⑧は間接税)です。

表1で見る通り2015年国税として納税された直接税の総額は60兆2千億円になっています。

下記図1は2022年における日本国の予算で、一般会計(日本では一般会計の他に特別会計があります。特別会計については、後で話し合うことにします。)と呼ぶ予算の歳入額の内訳です。

図1で見る通り、一般会計の歳入には公債金(借金)を含めています。

歳入総額に占める公債金の割合は、約36パーセントになっています。国の運営管理に何故借金をしなければならないのか、借金しないための手段は所得税、法人税を増やすことだと思いますが、どういしたらこれらの納税額を増やすことが出来るのでしょうか。

所得税とは個人の所得(収入)に対して払う税金のことです。所得税に含まれる個人の所得の代表的なものは給与、退職金、利子などで他に株の配当金など含めると全部で10種類の所得(収入)が所得税の対象になっています。

所得の納税額率について国税庁のホーム・ページによると以下の通りになっています。

 

表2.所得税の税率について

年間所得額

税率

控除額

 千円~約195万円*

5%

0

195~約330

10

97,100

330~約695

20

427,500

695~約900

23

636.000

900~約1800

33

1,536,00

1800~約4000

40

2,796,000

4000万以上

45

4,796,000

* 正確には1,949,000

2021年における日本の平均年収額443万円の納税額は、表2の税率に合わせて計算すると:

443万円×20%―427,000459,000円の納税額となり、所得税を払った後の所得(可処分所得という) 3,971,000 円です。

年間所得が1800万円の人の控除額を差し引た後の納税額は4,404,000円で可処分所得は1,3596,000円となります。

 

この納税率決めているのは国民から選ばれた国会議員です。

 

:この公開講座用のレジメは、講座実施までに多少の加筆や削除があるかも知れませんが、ご  

  了承願います。

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次回においても、継続し「歳入」について話し合いたいと思っています。

 

デンマーク、ウアンホイにて

 

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