クリスマスツリーを輸出するデンマーク

デンマークでは毎年12月に入ると商店、個人宅、町の広場に豆電球で飾られたクリスマスツリーが立ちます。筆者も毎年庭先にクリスマスツリーを立て豆電球で飾ることにしています。北欧諸国一般としてデンマーク(北の国全体に言えることですが、)の12月は朝明けが遅く、日が暮れるのも早いので、豆電球で飾られたクリスマスツリーは見る人たちの心に温かさと安らぎを感じさせているのではないかと思います。

デンマークはクリスマスツリー生産国でもあり、世界最大のクリスマスツリー輸出国ともいわれています。デンマークのクリスマスツリー業界*は毎年約1,140万本のクリスマスツリーを生産し、この内の約1,000万本が主に欧州諸国に輸出し、輸出額は120億クローネ(約2,000億円)になっています。

*Dansk Juletræsdyrkerforening( デンマーククリスマスツリー生産組合1984創立)

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・・・・筆者の庭先に豆電球で飾ったクリスマスツリー・・・・

 

デンマークのクリスマスツリー1000万本の主な欧州諸国の輸出先

 ドイツ(540万本)54%,フランス8%、イギリス7%などです。(デンマークのクリスマスツリーの540万本はドイツの家庭や職場に飾られているということです)

デンマークがクリスマスツリーの生産大国になっている背景には①デンマークの気候はクリスマスツリーの生産に適していること②ツリーの生産と販売のための協同組合を設立していること③組合員のツリー生産上における情報交換を通し質の高いツリーの生産していること④市場開拓と販売のロジスティクス組織を構築していること、⑤生産に必要な機械化を進めていること、などがあげられています。

これらの一環した生産工程と販売がデンマーク産のクリスマスツリーの輸出に繋がっていると言われています。デンマークのクリスマスツリーの生産過程は、種から苗木を生産し約20㎝の高さで農地に移植、植林の量は1ヘクタール当たり約6,500本です。クリスマスツリーとして販売される木にする(通常高さ2メートル前後)のに8年~10年かけて育てます。

デンマークの生産者が主に生産しているクリスマスツリーは”Nordmannsgran”* と呼んでいる木ですが、この木は切り倒した後でも長い間緑の葉は変色せず、そのためか、デンマークでは、”Stedsgrøn” (Evergreen英訳、日本語に訳すと常盤木、つねに緑の木)と呼び、永遠の生のシンボルとしてみています。*Nordmannsgran の原産地は中央グルジア共和国(Georgian)で1960年代にデンマークに種で入りました。

デンマークの農家はその種から苗木に育て、クリスマスツリー生産農家に苗木1本約1.5クローネ(約30円)販売しています。因みに、デンマークのクリスマスツリーの生産地面積は約2万2千ヘクタール(2015年)で全農地面積約263万ヘクタールの約8.4パーセントとなっています。

クリスマスツリーを飾ることを始めたのは、ドイツで、1500年頃南ドイツの町Bern, Freiburg, Strasbourg,で始まりました。それが、デンマークに入って来たのが1808年で、ユトランド半島南Holsteinborgに住むドイツ人とデンマーク人の家族が採り入れのが始まりと言われています。そして1811年になってコペンハーゲンに住むLehmann家族がクリスマスのツリーを飾り、その後徐々にデンマーク中に広まったと言われています。

デンマークのクリスマスツリーは遠くは香港やシンガポールまで輸出されていますが、クリスマスツリーのニーズはまだまだ続きそうです。