風力発電機メーカーベスタス社の業績などについて(20210815)

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世界中でコロナ感染問題が語られている中、産業界における業績の成り行きが懸念されています。デンマークにおいては、今の所、コロナ感染問題によって、社会経済的に大きな被害が出ていないように見受けられます。その背景にはデンマーク経済は国民相手の業務、観光、飲食業などが少なく、一方では、景気に影響されない食糧、エネルギー関係、住宅、国際運輸業などが国家経済を支えているためだと思っています。その中から一つの例として風力発電機メーカーの業績について記述します。

世界の風力発電事業に関与するデンマークの風力発電機メーカーの中でべスタス社の業績を見ますと、下記表の通りになっています。

表1.べスタス社の2020年と2021年第二四半期の実績数(単位:百万ユーロ)

 

2021第二

四半期

2020第二

四半期

売上高

3,536

3.541

EBIT*

101

34

受給額

4,500

3,200

受給総額

48,100

35,100

(出典:Jyllands-Posten 12.aug.2021) *EBIT: Earnings before Interest and Taxes の略称で利税引前利益 

上記表で見る通り、べスタス社の2021年第二四半期末(2021年6月末)における受給総額は481億ユーロで2020年の同期に比べ130億ユーロ多くなっています。同社の受給総額481億ユーロの内訳では、風車販売額が212億ユーロ、サービスメンテ契約料269億ユーロで、サービスメンテナンス料の契約額は風車代よりも多くなっています。2021年第二四半期だけの受給を見ると、風車の受給量は5,290MW(内733MWは洋上風車)となっています。地域別納品先(受給先)ではヨーロッパ諸国向け3,491MW(この中には洋上向け2箇所含む)、アメリカ大陸1,302MW,それにアジア諸国497MWとなっています。べスタス社の風車の売値はMW当たり約84万ユーロでこれに5,290MWをかけると45億ユーロになり、2021年第二四半期の受給額となります。そして2021年第二四半期の売上高は対前年比32億ユーロに対し約41%の増額となっています。つまり、コロナ感染問題で経済界への悪影響が懸念されていたわけですが、風力発電機メーカーべスタス社の例では、全く影響がないことが上記数値から読み取れと思います。

また、デンマーク最大のエネルギー供給会社Ørsted*の2021年上半期業績でも昨年に比べ大幅な利益増となっていると発表されています。

*Ørsted: デンマークの国が株式の50.01%を所有する国営エネルギー供給会社、従業員数約6,500人で2020年の売上高526億クローネ(約9,200億円)。同社は日本で進められている洋上ウインドファームの建設計画にも関与している。

また、年間1200万個のコンテナーの運輸を取り扱う、世界最大のコンテナー運輸会社Mærsk*会社の業績をみると2021年1月~3月の売上高は769億クローネ(前年同期592億クローネ)でEBIT額は190億クローネとなっています。結果、同社は2021年のEBITを当初の260~390億クローネを550~680億クローネに上昇修正すると発表しています。*日本ではマースクと呼んでいると思います。デンマーク最大の企業で世界130か国に事業所を所有し全従業員数は8万人と言われています。

 

この他、デンマークは建築ブームで左官、大工など建設関係に携わる人が足りないと業界から政府や行政に対し教育の増員を図るよう要望が出されています。これらの結果、デンマークの就労者数はコロナ感染問題が発覚する前の段階に戻ったと語られています。