コロナ感染問題 第4報 2021年3月28日

ダウンロード
コロナ感染問題 第4報.pdf
PDFファイル 619.6 KB
  1. デンマークのコロナ感染者数と社会市場の開放について

2021年3月25日付け、デンマークのコロナ感染者数は累積で225,844人に達し、死者数は累積で2,409人に達しました。また、3月25日時点での入院者数は214人、内集中管理患者数44人、人工呼吸器患者29人となっています。デンマークにおける感染者数の動向を見ますと、一日当たりの感染者確認数は800人前後の増えたり減ったりですが、今年に入ってから感染者数は減って来ています。その背景には、感染を防ぐため、学校閉鎖を始めとした大規模な住民の行動制限を導入して来たことと、昨年の12月27日からワクチンの接種を始めたことで、その効果が出て来たためだと思っています。デンマーク政府議会は感染者数の動向をみながら、学校を含め各種業界の開店制限また住民の集会人数の制限など活動を規制してきましたが、3月23日デンマークの政府与野党間において、活動制限を緩和することを決めました。それによりますと以下通りです。

・2021年4月6日:5年生から8年生の半日登校許可(低学年は許可済み)、床屋など自由業者の開店可、(床屋や美容院が長い間閉鎖されていたため、長髪になった人たちが目立つて来ており、床屋や美容院はこの日を境に超多忙となるはずです。)

・4月13日:ショッピングセンターなど15000m2までの商店街開店可

・4月21日:訪問者のコロナパスポート提示条件に、ショッピングセンター、百貨店開放、野外レストランやカフェテリア、美術館、図書館、文化ホール、開店可 (レストランやカフェテリアで食事したい人たちは首を長くして待っていますので、これら業界は多忙になるはずです。)

・5月6日:コロナパスポート提示条件に、屋内のレストランとカフェ開店、会議場、劇場、映画館など文化活動会場の開業可、18歳以上の屋内スポーツ会場開業可

・5月21日、コロナパスポート提示条件にその他の業務活動開業可(野外活動、国民高等学校など)特に何万人と集まる野外ロックコンサートが開催できるので、主催者は大きな期待を寄せています。

よって、上記からデンマーク住民が自由に行動が出来るのは(コロナパスポート提示条件を前程)5月21日以降としています。ただし政府議会は4月中旬においてコロナ感染者が増え、入院患者数が850人に達した場合にはまた住民の行動制限や各種業界の閉鎖策を採ると語っています。

 

  1. コロナ予防ワクチン接種について

デンマーク政府は昨年末から欧州連合諸国との間でコロナ予防ワクチンの共同購入をしています。3月末欧州連合と共にデンマークが認可したコロナワクチンは以下の4種類です。

  1. Comirnaty:  欧州連合(デンマーク含め)が最初に認可したコロナ予防ワクチン。ドイツのBioNTech社とアメリカのPfizer社が開発したワクチンで、同ワクチンの製造先はドイツとベルギー、接種できる年齢層は、妊婦と乳児者を除く16歳以上。デンマークの註文量は920万回(服)分

  2. Moderna:  欧州連合(デンマーク含め)が二番名に認可したワクチン。アメリカのModenrna製薬会社製で製造元はスイスとスペイン、接種できる年令層は妊婦と乳児者を除く18歳以上。デンマークの註文量6百万回(服)分

  3. AstraZeneca :  欧州連合(デンマーク含め)三番目に認可したワクチン。スウエーデンとイギリスの会社AstraZeneca社がオクスフォード大学と共同で開発したワクチンで、接種できる年齢層は18歳以上全て。デンマークの註文量390万回(服)分

  4. Johnson & Johnson: アメリカの製薬会社のワクチンで、欧州連合は2021年3月11日に認可した。このワクチンの特徴は冷蔵庫の温度で3ヵ月間の保管が可能で接種は1回で済むため、他のワクチンに比べ安く、その理由もあってかデンマーク政府は820万回(服)分注文している。

これ以外のワクチンでデンマーク政府が注文した物では、フランスとイギリスが開発し認可待ちのワクチンSanofi/GSK (デンマーク政府39万回(服)分発注)、とドイツのワクチンCurevac (デンマーク政府39万回(服)分発注)があります。

欧州連合におけるメーカー別コロナワクチン一回(服)当たりの購入価格(一人当たり接種額は、Johnson &Johnson 社のワクチン以外はこの倍となる*

  • Oxford/Astrazeneca: 1,78 euro (13,24 kroner)

  • Johnson & Johnson: 8,50 dollars (51,59 kroner)

  • Sanofi/GSK: 7,56 euro (56,24 kroner)

  • Curevac: 10 euro (74,40 kroner)

  • Comirnaty :Pfizer/Biontech: 12 euro (89,28 kroner)

  • Moderna: 18 dollars (109,24 kroner)

*例:一人当たりのワクチン代(Pfizer )12×2=24ユーロ

デンマークが発注したワクチン代を試算してみました。

ワクチン名

発註量

単価(回、服当たり)

デンマーククローネ*

単位:万クローネ

Comirnaty 

920万

12ユーロ

11.040万ユーロ

82,027

Moderna

600万

19ドル

11,400万ドル

71,820

AstraZeneca

390万

1.78ユーロ

694.2万ユーロ

5,159

Johnson& Johnson

820万

8.5ドル

6,970万ドル

43,911

Sanofi/GSK

39万

7.56ユーロ

294.84万ユーロ

2,191

Curevac

39万

10ユーロ

390万ユーロ

2,898

合計

2,808万

   

   208,006**

*デンマーククローネ換算:1ユーロ=7.43クローネ、1ドル=6.3クローネ、

**デンマークの一人当たりのワクチン代(国庫負担)は約356クローネ、日本円で約6,052円になります(208,006万クローネ/584万人=356クローネ、円換算356×17円=6,052円)。 

もし、日本政府がデンマーク並みのワクチン接種プログラムを採り入れたとした場合、見込まれるワクチン代は6,052円×約1億2700万人で7,680億円という額になります。

  1. 上記4種類のワクチンの内AstraZeneca (c.)の接種を受けた人の中で血栓などの副作用で死亡者が出たため、デンマーク政府は国内外でのワクチンチェックの状況を判断することにし、2021年4月15日まで同ワクチンの接種を棚上げすることにしました。なお、上記4種類ワクチンの内どれを選ぶかについては行政(保健庁)が決め、接種を受ける人には選択権は在りません。また、デンマークではコロナの感染チェックもワクチンの接種も個人負担はなく、全て国庫負担となっています。

 

デンマークにおけるワクチンの接種者数の動向をみますと、2020年12月約43,300人が接種を受け、その後2021年に入り、その数は徐々に増えています。デンマーク政府(保健庁)が発表した、ワクチンプログラム(ワクチンカレンダー)によりますと、国民全員に接種(2回接種)が終わるのは、ワクチンの入手状況に合わせ最終的には8月下旬を見込んでいます。

(2021年3月19日付け、デンマークワクチン接種カレンダー)

●表中の左端の列:接種を受ける人たちの順番、1.介護センター住居人、2.介護を受ける65歳以上の人たち、3.85歳以上の人たち 4、保健機関に務める特に介護、保健スタッフ、・・7.80歳~84歳、8、75歳~79歳・・・。

●表中の3月第2週までの黒の固まり:接種は2回で接種を終えた人たちと接種1回のみの人たち

●表中右のグリーン固まり:3月中旬以降の接種対象者と接種回数

 

上記ワクチンプログラムから、筆者の場合(76歳)がワクチン接種が受けられるのは4月(14週目から17週目)となっています。

デンマークの3月25日現在最低1回のワクチン接種を受けた人口数は656,737人(総人口の約11.1%)、内2回の接種を受けワクチン接種を終えた人の数は345,070 人でとなっています。

3.コロナ感染による死亡者の特徴について

コロナで亡くなった人たちの特徴について、肥満者占める割合が多いと新聞に発表*されました。 *Kristeligt Dagblad Torsdag den 25. marts 2021, udland 7.

新聞報道によりますと、世界中でコロナの感染で死んだ人の数は約250万人、この内の約220万人は、人口数の半分が肥満と分類されている国だと、肥満者*を減らす運動をしている団体WOF(World Obesity Foundation)が発表したと、同新聞で報道していました。

*肥満者の規準値となるBMI(Body  Mass Index)とは体重を身長×身長で割った数値で、この数値が18.5以下は痩せ過ぎ、18.5~24.9が正常、それ以上の数値は肥満者として定義しています。例えば身長165㎝で体重が58㎏の人のBMI値は58/165×165=21.3となり、BMIでは正常値ということです。

新聞報道では、例えばコロナで死亡した人の数が10万に当たり0.04人と少ないベトナムの場合、人口に占める肥満者の割合は18.3%と少なく、一方、イギリスは10万人当たりの死亡者数は184人、イギリスの人口に占める肥満者の割合は63.7%と書き、またアメリカにおいては10万人当たりの死亡者数153人で、アメリカの人口の67.9%が肥満者と書いていました。また同新聞では、デンマークの保険庁からの情報として、デンマークの肥満者数の人口に占める割合は51%でこの内の17%は超肥満者(BMI 30 以上)だと書き、10万人当たりの死亡者数は41.4人と書いていました。そして同新聞でのまとめとして、コロナ感染による死亡者の多い国8カ国の人口を見ると肥満者の占める割合が56.1~67.9%だと書き、またコロナ感染による死亡者の少ない8カ国の内の7カ国における人口に占める肥満者の割合は18.3~32.6%だと書いていました。

ということはコロナ感染者の死亡者の多くは肥満者だという見解にもとれる記事でした。

上記の見解をもとに日本におけるコロナ感染による死者数を見ますと:

2021年3月26日時点での日本におけるコロナ感染での死亡者数は8,969 人となっています。この数は10万人当たり換算すると7.1人となります。日本の死者数が上記で触れたイギリス、アメリカ、あるいはデンマークに比べて少ないのは日本の人口に占める肥満者*の数が少ないことも理由になるのではないかと思いました。

 *2020年における日本人の肥満者数(BMI25以上)の割合:男性32.2%、女性21.9%。

デンマーク、ウアンホイにて

2021年3月28日

ケンジ ステファン スズキ