「風のがっこう便り」2018年

2018年12月25日

         ケンジ ステファン スズキ

  2018年も多くの人たちにお世話になりました。年末を迎えるに当たり改めて心からお礼申し上げます。「風のがっこう」は19976月に開設して以来21年が過ぎ、この間多数の研修生を受け入れてきました。今年2018は、5回の研修を実施しました。近年研修を受ける人たちが減ってきていますが、研修を受けたい人たちがおられる限り活動を続けていきたいと思っています。それは、デンマークが採っている施策には何かと参考になるものあるとみています。例えば、教育費や医療費を国庫負担とした国策、住民の参加を義務付けた環境・エネルギー政策、電力や給湯・暖房の住民参加による供給制度など、住民や市民が関与している各種の施策、また親の経済的理由で進学できない子供がいないのがデンマークであり、お金がないから病院での治療が受けられない人がいないのもデンマークです。地球温暖化問題には、住民を巻き込んだ、持続可能な社会として必要な環境とエネルギー政策を導入対処してきていることなど、他の国においても、参考として使えるのではないか、思っているためです。

以下、今年2018年「風のがっこう便り」では、デンマークの施策の中から建物への給湯と暖房に関する施策について記述する他、デンマークが採った風力発電への施策について、日本科学者会議の招待での講演の要旨を掲載いたします。

A.デンマークの建物への給湯と熱供給について

デンマークは寒い国だけに暖房を必要とする時期は10月から4月です。そんなことから、建物への暖房に関しては1980年中頃までは、石油を燃料として暖房・給湯を続けてきました。その後、石油が急騰したこともあり、各個人での暖房と給湯から地域一体に熱供給をする仕組み、「地域暖房」会社を開設し、そこから、町一体に熱を供給することにしました。

デンマークのエネルギー政策では、エネルギーの供給対策と並行し、エネルギー消費の削減に力を入れ、その手段の一つとして、各家庭や工場・施設において独自に暖房や給湯をすることは止め、地域一体を温める集中型の熱供給を国の政策として採り入れてきました。地域暖房と呼ばれている集中型の域暖と給湯政策を推し進める一環として灯油に重税*を課しているのもそのためです。*デンマークの灯油の値段は(1トン当たり11,000クローネ(約18万円)でデンマークの一般家庭における灯油の消費量は2,500リットルからして地域暖房会社からの熱料は安くしている。

地域暖房の仕組みは「暖房会社」から各家庭や事務所施設などに約70度のお湯を断熱したお湯パイプで供給し、暖房はそのまま利用し、お湯は各需要家(住宅や建物)の水道水を地域暖房会社が供給するお湯で温めて(熱交換器)ふろ場や台所で使うお湯として利用する。(日本ではガス温水器や電気温水器を利用している様子ですが、デンマークは水をお湯にする熱源は地域暖房会社から供給される70度前後のお湯を使って温水にしています)。

 

1.はデンマークの住宅数に占める熱及び給湯設備の1981年から2016年普及推移ですが、1981年代での大半を占めていた石油ボイラーによる熱及び給湯設備は2016年においては20万世帯以下に減って来ています。2016年デンマークの280万件に上る熱供給(暖房含め)の中で地域暖房の占める割合が63.6%、天然ガスボイラー15.3%、石油ボイラー10.0%、その他、熱ポンプ、電気、バイオマス燃料11.0%となっています。デンマークでは地域暖房の普及に努めることと並行し、住宅の省エネ化に努めてきています。今日のデンマークに一般住宅の規格では外壁の厚さは40㎝、窓やドアーの断熱を表すU基準値は最大0.15とし(因みアルミサッシのU-値は200と言われ、数値が多いほど断熱効果が悪い)屋根裏断熱40㎝、床下断熱30cmが規格となっています。この省エネ住宅と省エネ対策を取り入れた結果、デンマークの住宅のエネルギー消費量は1990年(100)に対し2016105で約5%の伸びとなり、この間住宅の暖房面積は1990年の100に対し2016年のそれは12323%増えています。この結果暖房面積m2当たりのエネルギー消費量は1990年から2016年の間に15.1%削減されました。

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市民参加を義務づけたデンマークのエネルギー政策とその国情
2018年12月7-9日沖縄演特別講演.pdf
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